20100211子ども手当決議文

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親のいない子どもたちへの「子ども手当」の支給等を求める決議文


 民主党は、選挙のマニフェストに「子ども手当」の 支給を掲げ、政権交代を果たしました。現在、マニフ ェストを実現すべく、制度設計が行われています。 1月18日、厚生労働省で自治体に対する説明会が 行われ、子ども手当の支給の概要が明らかになりまし た。

 児童手当の制度設計を踏襲しているため、
1.親(未成年後見人含む)がいない子どもには支給 されない。

2.実親がいても、虐待を受けた子ども、親が服役中 の子どもなどには支給されない。

3.支給対象とならない子どもは推定5,000 人程度。 4.児童養護施設・乳児院、里親家庭で育つ子どもの 養育者に支払われるのではなく、養育していなく ても実親に支払われる。


など、残念な実態が明らかになりました。

 長妻昭厚生労働相は2月3日の参院本会議での各 党代表質問で、児童養護施設などに入っている子供に も「子ども手当」の代替措置として、子育て支援のた めの「安心子ども基金」から「子ども手当相当分」を 支給する方針を示しましたが、根本的な問題の解決と はいえません。

 親が育てられない子どもを育てる施設職員や里親 の立場からも、親がいないというハンデを負っている 子どもに対し、さらに差別的な扱いをすることは、断 じて承認できるものではありません。

 私たちは、緊急集会を開催し、子ども手当制度につ いて学ぶとともに、親が育てられない子どもたちを差 別しない「子ども手当制度」の実現を求めるために意 見交換をしました。

 そこで判明した親が育てられない子どもたちの実 態は、驚くべきものでした。  児童養護施設や里親家庭などで暮らす子どもたち のうち、実に4,833 名の子どもが「両親がいない」「両 親とも不明」であるにも関わらず、未成年後見人の選 任も12年間で79件と低く、大多数の親のいない子 どもたちには、未成年後見人が選任されていない現実 が明らかにされました。

 そもそも、これら親のいない子どもたちに未成年後 見人が選任されていれば、今回の「子ども手当の不支 給問題」は起こりえないことでした。

 実親のいる受給対象の子どもについても、子どもを 現に養育している者ではなく、養育していなくても実 親に支給され、子どもの養育のために使われる保証が ありません。

 また、15 歳から18 歳で措置解除された後、20 歳で 成人するまでの間親権を行使する者がいないため、無 権利状態になっている実態も明らかになりました。

 平成22年1月に公表された「児童虐待防止のため

 の親権制度研究会報告書」においても、「親権を行う者 がない子を適切に監護するための手当て」が議論され ています。「法人による未成年後見」「児童相談所が機 関として親権を行う」などの案が提示されています。

 子ども手当ての前身である児童手当は、申請しなけ れば、受給資格があったとしても受給することが出来 ませんでした。子ども手当てについても、誰が受給申 請をするのかについては、親のいない子どもや虐待を 受けている等の子どもが受け取れる仕組みが必要であ るとの意見も出ました。

 子ども手当ては、0歳から中学校卒業まで支給され ると、子ども一人に最大496万円支給されます。大 切に貯金すれば、親のいない子どもたちの大学進学費 用に充てることもできます。

 子どもたちの未来への希望となる子ども手当ては、 適切に管理される必要があります。

 私たちは、「次代の社会を担う子どもの育ちを支援 するため」という子ども手当て制度の趣旨を鑑みて、 次のとおり決議し、決議文を提出いたします。

 親が育てられない子どもたちが差別をされず、当然 の権利として子ども手当てを受け取り、社会の一員と して育つことができるよう望むものです。

1.親のいないまたは不詳の子どもに対しても、親の いる子どもと同じ子ども手当てを支給すること。

2.親のいないまたは不詳の子どもには、速やかに未 成年後見人を選任し、児童養護施設・乳児院や里 親との連携を行う仕組みを作ること。

3.親がいて児童養護施設等に入所、または里親に委 託された子どもには、現に養育にあたるものと実 親の状況に即して、こどもに使われるように支給 すること。

4.子ども手当の支給にあたっては、一定のルールの もとに管理させること。


平成22 年2 月11 日

緊急集会「親がいない子どもたちにも 子ども手当を ください」参加者一同

主催 財団法人全国里親会

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